船舶検定検査の簡素化


提  言:
我が国の漁業界は漁価の低迷、人件費の上昇、輸入量の増大など大変厳しい状況下にあり、漁船については、昭和8年に実施された船舶検査が14回の改正はしているものの、依然として厳しい規制の中で検査が行われている。この為に、船主の負担は大きく漁業離れにつながっている。
検査の多項目にわたる規制緩和を実施するべきである。


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制度の概要と問題意識、問題点

  1. 漁船(20M以上)に対する定期、中間検査は定期が4年6年、中期が2年4年の期間で行われている。

  2. 整備認定事業場制度の活用は、救命いかだなどの定型的なもののみ活用している。

  3. 法定備品に無かん大錨(むかんたいびょう:意味は”いかり”)があるが、これらは水深50M対応で、実際に使用する200M対応の他に、備え付けなければならない。また、法定備品外で自主的に付けた救命いかだについても、検査を行っている。

  4. 無線の検査では、(船舶安全法と電波法の観点から)運輸省、郵政省で同じ項目の二重検査が行われている。

  5. 海外の船舶検査は、船舶検査官が希望受験者の場所に出張している。(年3百隻)。他に在外交館で、船舶検査官を併任したアタッシュが4カ国に配置されている。

検討の経緯

  1. H6,5,27  予算委員会第四分科会で質疑
  2. H7,2,21  予算委員会第七分科会で質疑
  3. H8,2,27  予算委員会第七分科会で質疑

今後の対応

  • 漁船・船主あるいは漁業者のニーズにこたえ、現代の技術水準の向上を踏まえ人命の安全を尊び、規制緩和策を検討することが肝要である

提言後の施策の進展(H6年の質疑からの段階的進展)

  1. 定期中期検査の期間の延長については、国際海事機関IMOで国際的に決められている為、日本だけの緩和は難しいが、エンジンの開放検査については中期検査について207型式は省略された。

  2. 整備認定事業所制度(現在88社)に救命いかだに限らずエンジンの整備についても活用を早期に計る為、整備規程の認可と整備認定事業所の認定を(H8,4)より行う。現在数社が申請準備中である。

  3. 無かん大錨(むかんたいびょう)は予備アンカーとして必要としているが、脱落、損傷の事例が少ないと言う実態を踏まえて見直してゆく。

  4. 無線の検査については、運輸省、郵政省とが検討し、整備記録様式を統一して二重検査がないようにした。(H7年度末より実施)

  5. 海外の船舶検査官の併用をしたアタッシュをあらたにオーストラリアパース、ペルー大使館に配置する(H9度早々)。

今後の課題
  1. 定中期検査の期間で、一般船舶に適用されている海上人命安全のSOLAS条約では、間隔を4年から5年に延長する方向で検討されており、整合性の観点から充分検討し、漁船の検査期間を考える。
    トレモリノス条約<漁船安全契約>を批准すれば現在の4年を維持せざるを得なくなる為、条約批准することについても検討が必要。トレモリノス条約では、検査期間の間隔は4年中期間検査は2年ごとに行うことになっている。ただし発効要件は、締約国15ヶ国以上(現在18ヶ国)その隻数が1万4千隻(現在5千3百隻)にならなくてはならない。

  2. 整備認定作業場制度を多項目において活用でき、また事業場の数も整備規定に基ずき、増やす事を検討する。

  3. 予備品の中に実際に使われないものは不要であり、見直しの検討結果を追求する。自主的に付けた救命いかだについては、保証期間を設けて取り替えるなど、船主の自己管理で対応できる事に重点を置くべきである。

  4. 今後も遠洋での検査に充分対応できるように状況を観察してゆく。


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1998年03月31日