年金改正のポイント


年金NAISグループ


 探究と行動をモットーとする安倍代議士が当選5回以下の自民党議員に呼びかけて、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を発足させ、60人もの集団の事務局長を務めたことは記憶に新しいことでしょう。

 むずかしいことや、わかりにくいことは常にうやむやにせず、どこまでもつきつめて解明し、自分自身だけでなく多くの人々にも納得して貰わねば、という姿勢の表れで、このほど結成された「年金NAISグループ」もまた一連の勉強会の一つです。

 まず、ネーミングについては衆議院議員の根本匠(N)、安倍晋三(A)、石原伸晃(T)、三氏と参議院議員塩崎恭久(S)氏による四人グループのイニシャルを並べたもので、国民が不安にかられている将来の年金問題に真正面から取り組んでいます。

 そして早速、『これが年金改革だ…年金なんかこわくない』と題したマニュアルを発表、その内容が実にわかりやすくポイントを掴んでおり、各方面からの注目を集めているようです。

 ここでは、そのマニュアルに沿って「年金改革」の要所要所を簡単になぞってみることにしましょう。

公的年金の現状と将来


 公的年金とは、一口に言えば社会的連帯の理念による「老後の安心保障」で、「現役」の人々が支払う保険料により「高齢者」の年金を賄う制度、つまり、社会全体から見れば「子から親への仕送り」というわけです。ちなみに我が国の現在の公的年金は、例えば厚生年金の場合、夫が40年間加入し妻が専業主婦という夫婦二人で平均238,000円、この額は先進諸国にも決して劣るものではなく、物価指数の上昇などによって年金額も増やしていますので、当然、将来の給付総額は増加してまいります。

 ところが、ご承知のとおり、このところ急速に少子化が進み、一方では平均寿命が予想以上に伸びており、その上、経済基調も大きく変化して「現役」の人々が納める保険料の上昇は望み薄くなるばかりで、厚生年金などの事業主負担もまた企業の国際競争を保とうとすれば、過重となるような方策は避けねばなりません。

 そこで将来の年金の在り方として、「現役」の人々が支払う保険料は「無理なく払え負担」の範囲内に抑え、受給する「高齢者」も「安心して暮らせる額」の範囲内で伸び率を抑えることが必要となってきます。


-表(1)-


無理なく払える保険料と安心して暮らせる年金


 図表(1)と(2)は年金改革の大きなポイントとなる「給付の伸びを抑制しても、将来安心して暮らせる額を保証」する案と、「現役の人々が支払う保険料は無理なく払える負担」に抑える案を表したものです。

 まず図表(1)は、先に述べました夫婦二人の給付額238,000円が現行制度で伸びた水準より5%引き下げた場合の数値で、伸びはやや抑制されるものの、給付される額は確実に伸びております。

 次に図表(2)は、厚生年金保険料の月収に占める割合が、現行制度のままで行けば現在の17・35%から2025年には34・50%(個人負担は半額)に、そして国民年金もまた13,300円から26,400円へとほぼ倍増されることになりますが、図表(1)のとおり給付の伸び率を抑えるために、2020年以降の最終保険料率を34・50%から25・20%へと引き下げることが出来ます。このことは、企業負担分を除く本人負担分だけで考えれば、現役の人々が支払う保険料率はボーナスなどを含む年収の10%以下にとどまることになります。

 国民年金の場合も図表(2)でご覧のとおり、負担額はかなり抑制されております。


-表(2-)


部分年金の支給開始年齢引き上げ

 この改革案は、給付率と負担率を抑えると共に、給付を受ける高齢者も現役世代の過重負担を少しでも軽くするために「生活の安心保障」は公的年金に、「豊かな保障」は自助努力を、と、すなわち私的年金を促進するような税制改正を検討しています。

 そして更に、60歳台後半の方でも稼得収入があり、高額な役員収入のある方からも保険料を負担していただき、また、収入が比較的高い方(夫婦二人世帯で年金との合算月収が504,000円以上)に限っては、年金を減額することにしています。

 しかし、平均寿命が伸びており、将来の労働人口はますます減少することが予想されます。そこで65歳現役社会への移行、つまり高齢者の本格的な就業を准し進めることが必要となってまいります。そのために改革案では、2013年度から2025年度にかけて60歳台前半の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を65歳に引き上げることにしています。

 ところで申すまでもなく、政府もまた安定した国庫財源の確保に努力しっつ、基礎年金の国庫負担率の現行三分の一を、やがて二分の一に引き上げ、少子化が進む将来世代の負担を軽減します−と、「年金NAISグループ」によるマニュアルは説明しています